キヤノンが満を持して伝統ある「Kiss」シリーズの名を、初めてミラーレス一眼に与えたモデルが「EOS Kiss M」です。このモデルは本当に「Kiss」の名にふさわしい初心者向けオールラウンダーとなっているのか、実際にサブ機として運用してるユーザーの目線で検証しました!!このレビューがこれからミラーレス一眼を買おうと思っている人の参考になればと思います。
EOS Kiss Mはキヤノン伝統のKissシリーズの名にふさわしく初心者にもやさしいミラーレス一眼です。特にオートモードやアシスト系の出来が素晴らしく、誰でも簡単に個性的な写真が撮れます。もちろんカメラとして基礎的な実力も十分に高い上に、アダプターを使えば同じキャノンのEF系のレンズも使えるので、初心者だけでなく、中級者や既にキャノンの上位機種を持っている人のサブ機などにも使えるミラーレス一眼です。
EOS Kiss M には、カメラを始めたばかりで露出とか絞りとかまだよくわからない人のために、「押したら撮れる」モードが搭載されています。シャッターを押すだけで被写体が人物なら顔を明るく自然な肌色に、風景なら色をより鮮やかにカメラが自動調整してくれるので、このモードに合わせておけば最初はとにかく構えて撮る!だけでもそれなりにいけます。
例えば「EOS M100」とか同じような性能でファインダー無しの機種とかもありますよね?実はカバンの収まりはファインダーのでっぱりの無い「EOS M100」の方が断然いいんですよ。でもやっぱりファインダー付きのEOS Kiss Mに手が伸びる。もちろんファインダーに慣れているからというのもありますが、晴れた昼間の場合、液晶画面だけだとどうしても画面が反射して微妙な露出がわかりにくいことがあります。その点でファインダーのついているEOS Kiss Mがやっぱり安心なんですね。
昔からよくメーカーごとの色があると言われていました。例えば「ペンタックスは緑の発色が良い」「富士フィルムは彩度が高く色鮮やか」「ニコンは金属の質感が素晴らしい」などです。そんな中キャノンの「色」の特徴はずばり「人肌」だと言われています。もちろん今はデジタルの時代なので色味はレタッチである程度どうにでもなるのですが、それでも人の肌色の表現はキャノンが一番いいと言う人は多いです。このEOS Kiss Mも入門機ですが上位機種と同じ発色の傾向があるので、例えばEOS Rと二台持ちで撮影した場合でも、極端に色味を編集する必要がないのでとても楽です。
一昔前はミラーレス一眼はAF(オートフォーカス、自動ピント合わせ)が遅いと言われていました。確かにその通りだったのですが、最近は技術革新のおかげでかなりミラーレス一眼のAFも改善されてきました(それでも一眼レフには今一歩劣りますが)。このEOS Kiss Mもキヤノン最新の「デュアルピクセルAF」が搭載されていて、以前のミラーレス一眼とは比べ物にならないほどのAFの高速化を実現しています。もちろん一眼レフのクロスセンサーに比べると「食いつきが悪いなー」と感じることはありますが、野鳥や戦闘機といったハイレベルなものでなければ動いている被写体も十分に補足可能です。
出始めのミラーレスと比べたら完全に別モノ
スマホ転送でPCいらず
スマホ時代の必須機能
当然このEOS Kiss Mにもスマホへの転送機能が搭載されているので、撮った写真をすぐにその場でスマホでレタッチして、インスタやツイッターにアップできます。これは例えばテーマパークとか一日外出の時などはとても役に立つ機能です。さらにデータ転送だけでなく、リモートシャッターにもなるので、夜景撮影などもリモコンとか別に買う必要が無いのもうれしいですね。
何気によく使う機能。Bluetooth対応で接続が簡単に。
アダプタ経由でキャノンのレフ機用レンズが使える
こんな組み合わせをする人はあまりいないと思いますが
これはキャノン使い限定かもしれませんが、今あるレンズ資産が流用できます。実際に使ってみてもストレスなく動作するので、現在キャノンのレフ機を使っている人はEOS Kiss Mをサブ機として導入するのもアリだと思います。但し、サードパーティー製のEFレンズ(タムロンやシグマ)はサポート外なので、その点のみ注意が必要です。
EF-Mレンズが物足りないならフルサイズ用レンズも使える。
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EOS Kiss Mレビュー【イマイチなポイント編】
ここまでかなりベタ褒めに近い状態ですが、当然イマイチな点もあります。ここからはEOS Kiss Mの気に入らないポイントを遠慮なく書かせてもらいたいと思います!
バッテリーが持たない
予備バッテリーすぐに買いました
これはEOS Kiss Mに限った話ではないのですが、ミラーレス一眼はとにかくバッテリーが持ちません。一眼レフからの乗り換え組は必ずびっくりすると思います。それぐらい持たないです。このEOS Kiss Mもテンポよく撮ればカタログ値の235枚よりはかなり多く撮れますが(毎回500枚以上は余裕で撮れる)、最初慣れるために色々設定を変えたり、無駄にファインダーを覗いたりとかしていたら100枚撮れませんでした。買う時は予備バッテリーの値段を含めて予算を立てたほうが無難でしょう。
最初からバッテリー2個入りとかにしてくれないだろうか
サイレントシャッターの制限が残念
サイレントシャッターとはいわゆる「カシャッ」というシャッター音を消して撮影する機能です。EOS Kiss Mも「スペシャルシーンモード」で「サイレントモード」を選べばシャッター音を消して撮影できるのですが、フルオート撮影のため、絞りやシャッタースピードの変更おろかISOもAUTOでしか撮れません。この上位機種との差別化のためのあからさまな機能制限はキヤノンの伝統と言えるものなので、中級者はサイレントシャッターは無いものと考えておきましょう。(まぁKissクラスと二桁Dが同じ性能なのもおかしな話なので仕方ないですが)
ある程度初心者を卒業すると、露出補正を頻繁にするようになります。てか毎回します。キャノンの中級機はすべて2ダイヤル仕様なので露出補正はサブダイヤルに割り当てられるのですが、EOS Kiss Mは一眼レフのKissと同様1ダイヤル仕様なので、露出補正は十字キーの上を押してからダイヤルを回すという2アクションが必要です。たったボタン一つの手間ですが、どうしてもファインダーから目が離れてしまうので、とてもめんどくさい。オリンパスもPENシリーズとかは1ダイヤルなので仕方ないと言えば仕方ないですが、これさえなければ本当にEOS Rのサブとして使えるんじゃないかと思えるぐらいカメラとしての性能が高い分、余計に残念に思います。
以上、EOS Kiss Mを実際に使い込んだ視点でのレビューでした!このEOS Kiss Mは正直言ってエントリークラス以上の出来だと思います。普段フルサイズを使っている身からすると確かに1ダイヤルが不便だったりとかファインダーが小さかったりとか粗を探せば随所に物足りない所はあるのですが、小さくて軽くて連射できてAFも早くて2000万画素超えとか、普通の写真好きな人が普通に使う分には十分すぎる内容だと思います。もちろん初心者の人も機種選びに悩んだらもうこれ買っときゃ間違いない!そんな鉄板モデルだと思います。発売から少し経過して値段もこなれてきた現在、レンズ二本付いて10万以下なんて本当にバーゲンプライス!購入を検討している方はマイナーチェンジして値段戻る前に手に入れましょう!
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