
SDカードの違いって容量だけじゃないんですか??

容量の他にも、対応する機器の規格や書込みスピードに関係する規格があるので、使っているカメラに合ったSDカードを選ばないとダメですよ
SDカードには容量だけでなく速度にも違いがあります。
せっかく撮影した大切なでデータを確実にSDカードに記録させるために、いま使われているSDカードの規格の内容をしっかり理解し、持っているデジタル一眼カメラに対応しているSDカードを選ぶ必要があります。
この記事では特にデジタル一眼カメラユーザーの視点でSDカードの規格の種類とその内容を説明しています。この記事を読めばSDカードの規格の概要を理解し、自分のカメラに合ったSDカードを選ぶことができるようになります。
この記事が扱っている内容
・SDカードの呼び方と容量の関係
・SDカードの規格について
・SDカードの書込み速度の見方について
・SDカードの購入時や使用時に注意する点
デジタル一眼はUHSスピードクラスが重要
書き込み 速度 | スピードクラス | UHS スピードクラス | ビデオ スピードクラス | 撮影する 動画の解像度 |
90MB/秒 | V90 | 8K | ||
60MB/秒 | V60 | 8K | ||
30MB/秒 | 3 | V30 | 4K | |
10MB/秒 | スピードクラス10 | 1 | V10 | フルHD/4K |
6MB/秒 | スピードクラス6 | V6 | フルHD | |
4MB/秒 | スピードクラス4 | |||
2MB/秒 | スピードクラス2 |
まず上の表をご覧ください。2022年現在のSDカードの書き込み速度の表記の規格です。同じ書込み速度を表すのに3つもの表記方法があることにお気づきでしょうか。
なぜこんなにもややこしいことになっているのかは一旦置いておいて、デジタル一眼ユーザーはUHSスピードクラスに注目しましょう。
2022年1月現在に発売されている一般的なデジタル一眼で4K程度の動画撮影までであれば、このUHSスピードクラス3までで大体対応できるはずです。

ではここからはSDカードの規格について、それぞれ詳しく見てみましょう
SDカードの性能の違いを理解する

こんなに見るところがあるんですね~わかるかなぁ・・・

確かにSDカードは昔に比べて少し複雑になってしまいました。でもポイントを押さえれば難しくはありませんよ!
SDカードは容量によって種類が変わる
「実はもうSDカードはほとんど売ってないんですよ」
普通そういわれても信じませんよね?でもある意味これは本当のことです。なぜなら今売られているのは正確には「SDHCカード」や「SDXCカード」であって「SDカード」ではないからです。
実はSDカードは容量によって呼び名が変わり、SDカードは2GBまでのものを指します。ちなみに4G~32GBまでのものをSDHC、64GB以上2TB以下のものをSDXCと呼んでいます。

なんかややこしいですね。わざわざ名前を変える必要があったんですか?

実はこれには深い訳があるんです
ではなぜSDカードは容量によって呼び方を変えているのでしょうか?
実はSDカードは今から20年以上前に登場した規格であり、容量も今のような数GBではなくMB単位のものでした。それから時代と共に容量が増加し、やがてGB単位ののSDカードが登場するようになりました。
つまりSDカードは最初の規格が制定されてから容量が実に100倍以上に増加しており、当然使用する機器の必要容量に合わせてSDカードも何度も世代交代を繰り返してきたので、このように形は同じままで世代だけ違うという状態になっているのです。

SDカードってそんなに昔からあったんですね!

そうなんです。1GBのカードすら存在しなかった時代の古いデジカメに256GBのカードが使える訳ありませんね。それがわかるように形は同じでも名前と種類を変えてあるんです
このことが理解できれば、その機器に使えるSDカードの最大容量がわかります。
例えば、持っている機器がSDXC対応であれば64GB以上のSD(XC)カードを使うことができますが、古い機種などでSDHCに非対応であれば最大でも2GBまでのSDカードしか使えない、ということです。

古い機種にはあまり大きな容量のSDカードは使えないかもってことですね
このようにSDカードの容量を選ぶ際には、機器の仕様を良く調べてどのSDカードに対応するのかしっかりと調べておくことが重要です。
転送速度は書込み速度の方が重要
4Kや8Kには書き込み速度が早いSDカードが必要

転送速度って何ですか?

簡単に言うと1秒間にどれほどのたくさんのデータを書き込むことができるか、という性能のことです。当然早い方が良いです
デジタルカメラやデジタルビデオカメラは高性能化するに従ってどんどん高解像度化されていきます。そうなると当然1枚当たりや1秒当たりのデータ量も大きくなるので、当然SDカード書き込むデータ量もどんどん大きくなります。
ここで問題になるのがSDカードの「書き込み速度」であり、もしこれが遅ければカメラであれば撮影してからSDカードの書き込みが終了するまで待たされることになりますし、ビデオであれば撮影に書き込みが追いつかなくなり正常に記録されなくなります。
これを防ぐためにその機器の性能に対して余裕のある書き込み速度を持ったSDカードを選ぶ必要があります。

必要な書き込み速度ってどうやって知ればいいんですか?

今売られているほとんどの機器では必要な「スピードクラス」が指定されています。「スピードクラス」については後で詳しく説明しますね
読み出し速度が速いとパソコンへのデータのコピーが早くなる
書込み速度と同じくSDカードの性能の一つが「読出し速度」です。
これはそのままですが「1秒間に読み出せるデータ量」であり、これも当然多ければ多いほど高速なSDカードということになります。
この読み出し速度については特にパソコンへのコピーの早さなどに影響する性能ですので、機器側で指定はされていないことがほとんどですが、あまりに読み出し速度が遅いSDカードの場合パソコンにデータをコピーするのが時間がかかるので、大容量カードの場合はやはりある程度の読み出し速度をもったSDカードを選ぶほうが良いでしょう

一般的にSDカードの表面に書いているのはこの読み出し速度のことがほとんどなので間違えないようにしましょう
SDスピードクラス
SDスピードクラスとはSDアソシエーションで決められた転送速度の規格であり、数字が書き込み時の最低保証速度の数字を表しています。例えばC2であれば最低書き込み速度が2MB/秒、C6であれば最低書き込み速度が6MB/秒という具合です。
ただし、このSDスピードクラスは2006年ごろに定められた規格で、現在は規格上の最高速度であるC10であることが普通になっており、普通は今の時代にC2からC6のSDカードが使われたり新品として売られていることはまずありません。

SDスピードクラスは既にC10(最高)であることが当たり前なので、SDカードの性能を表す表記としてはあまり参考になりません
デジタルカメラなどは新しくなるほど高解像度化といったデータの大容量化などで、SDカードにも高速な書き込み速度が必要になる傾向があるため、今後使用される機器でSDスピードクラスC2やC6を使うことはまずないでしょう。
もしSDスピードクラスがC4とかC6という古いSDカードを見つけても、残念ながら既に使い道はあまりないと考えておきましょう。
UHSインターフェイス規格

現在デジタルカメラで使うSDカードを選ぶ際に一番重要な規格です。
UHSインターフェース規格とは、SDスピードクラス時代よりもはるかに高速な転送に対応する新しいSDカードの規格です。
次に出てくるUHSスピードクラスとセットで表記されていることがほとんどで、UHSスピードクラスが最低書き込み速度を表すのに対して、こちらのUHSインターフェースは規格の種類そのものを指しています。
理論値ではありますが、UHS-I規格は最大104MB/秒、UHS-II規格は最大312MB/秒でのデータ転送が可能です。

UHS-I規格とUHS-II規格はSDカードの裏面のピンの数も違います

え?それじゃぁこの規格を間違えると使えないんですか??

下位互換性が保たれているので使うことはできます。でもUHS-I規格のカメラにUHS-II規格のSDカードを使ってもUHS-I規格の性能しか出ません
もちろんこのUHSインターフェース規格対応のSDカードの性能を十分に発揮するためには、デジタルカメラの側も同じUHSインターフェース規格に対応している必要があります。
さらにパソコンにデータをコピーする際に使うカードリーダーも、UHSインターフェース規格に対応していれば高速な読込が可能ですが、対応していなくても従来のSDカードと同じ速度で読込み自体は問題なく可能です。
UHSスピードクラス
デジタル一眼カメラユーザーが最も注目したいポイントがこの「UHSスピードクラス」です。
上のUHSインターフェース規格に対応した製品での最低保証書き込み速度を表します。最近のデジタルカメラでは4Kや8K動画などの高解像度動画が撮影できるモデルが増えており、録画時の最低書き込み速度の表記として用いられることが多いです。
UHSスピードクラス1は10MB/秒以上、UHSスピードクラス3は30MB/秒以上を保証します。
繰り返しになりますが、保証されている性能を発揮させるためには、カメラとSDカードの両方が同じUHSインターフェース規格に対応している必要があります。

最近のデジタル一眼であれば最低でもこのUHSスピードクラス3を選んだ方がよいでしょう
ビデオスピードクラス
この「ビデオスピードクラス」は2016年に策定された比較的新しい規格であり、主に4Kや8Kといった高速書き込みが必要になる高画質ビデオ機器のための規格であり、他のスピードクラスと同じく数字が最低書き込み速度を表しています。
UHSスピードクラスと併記されることがほとんどですが、現在UHSスピードクラスが3(30MB/秒)までしか存在しないのに対してこのビデオスピードクラスはV90(90MB/秒)やV60(60MB/秒)まで存在するのが特徴です。
今の所デジタル一眼カメラの要求仕様としてはあまり使われていませんが、今後高解像度化に伴いビデオスピードクラスが指定されることもあるかもしれません。

UHSスピードクラスが同じ3でも、ビデオスピードクラスが上の方がさらに早いSDカードということになります。
アプリケーションパフォーマンスクラス
主にスマートフォン向けの規格です。スマホの内蔵メモリが不十分な場合にSDカードによってメモリ増設することがあり、主にそういった用途での快適性を表す指標となっています。
アプリのインストールやデータの保存・編集といったオペレーティングシステム特有の使い方を想定しており、ランダム書き込み/読込の速度を改善しているのが特徴です。
ただし、運用がスマートフォン前提なので殆どがmicroSDカードしか存在しないため、現時点でデジタル一眼のユーザーが考慮に入れる点はあまりないかもしれません。

デジタル一眼用のSDカードを選ぶ際にこの規格がついてなくても全く気にする必要はありません
SDカードを選ぶ際の注意点
まず注意すべきなのは最大容量です。もし持っているデジタル一眼がSDXCに非対応であるにもかかわらず128GBなどのSDXCカードを用意しても使うことができないので注意が必要です。
次に注意したいのがUHSインターフェースです。例えば使いたいデジタル一眼の仕様がUHS-I対応なのに比較的高価なUHS-II規格のSDカードを選んでも折角のUHS-IIの意味がなくなるので、お手持ちの機器がどのUHSインターフェースに対応しているのか把握するようにしましょう。

必要としているよりちょっとだけ性能の良いSDカードを買っておくというのはありだと思います。
あとハイスペックであるにもかかわらずあまりにも安かったり、また聞いたこともないようなメーカーのSDカードも避けた方が無難かもしれません。
海外を中心に、見た目は128GBなのに実際は4GBしか書き込みができない、とかUHSスピードクラス3のはずなのに書込も読込も10MB/秒すら出ない、といった粗悪品が出回っているようです。
見た目は大手メーカーのラベルを張って偽装しているケースもあるようなので、自信が無ければ多少高くても信頼できるお店やサイトで大手メーカーのSDカードを購入することをお勧めします。

有名どころでいえばサンディスクやトランセンドあたりがおすすめです
SDカードの使用上の注意点
次に使用上の注意点ですが、SDカードのトラブルで最も心配なのはデータの破損かもしれません。
SDカードは精密機器なのでちょっとした衝撃などで内部のデータが破損したり消失したりということが起きる可能性があります。
また、あまり知られていませんがSDカードには書き込み回数の限界つまり寿命があると言われています。ですからまだ使えるからと言ってあまり古いカードを使うのではなく、長くても5年程度で新しいカードに買い替えるようにするほうが良いでしょう。
さらに、SDカードは小さなプラスチック部品なので文字通り破損することもありますし、小ささゆえに紛失してしまう可能性もあるでしょう。SDカード内のデータはあくまでも一時的な物と考え、なるべく早くパソコンなどにデータをコピーするようにしましょう。

SDカードを複数台のカメラで使いまわしたり、何枚かのSDカードを使い分けている方は紛失に特に注意です。
まとめ:SDカードの規格を理解して用途に合わせて揃えよう
いかがだったでしょうか。SDカードはメモリーカードの中では異例の長寿命規格で規格が何度も拡張されているので、理解するのが難しく思うかもしれません。
ただデジタル一眼に使用するという観点で見れば、UHSインターフェースの対応さえ調べておけば大きく失敗することは無いはずです。
特に4K動画や8K動画といった高解像度の動画を撮ったり、写真でも高速連射を多用することが無いのであれば、UHSスピードクラス1にさえ対応していれば書き込みが遅すぎて困まるということはないでしょう。
この記事が皆さんの参考になれば嬉しく思います。最後まで読んで下さってありがとうございました。
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