こんにちは!カメラ歴15年、レンズ総購入数45本のNEKO(ねこ)です!
キヤノンが満を持して伝統ある「Kiss」シリーズの名を、初めてミラーレス一眼に与えたモデルがこの「EOS Kiss M」です。
このモデルは本当に「Kiss」の名にふさわしい初心者向けオールラウンダーとなっているのか、実際にサブ機として運用してるユーザーの目線で検証しました!!
このレビューがこれからミラーレス一眼を買おうと思っている人の参考になればと思います。
結論:EOS Kiss Mは初心者だけでなく、中級者のサブ機にもおすすめの新定番ミラーレス!
EOS Kiss Mはキヤノン伝統のKissシリーズの名にふさわしい、初心者にやさしいミラーレス一眼です。
特にオートモードやアシスト系の出来が素晴らしく、操作は本当に簡単です。
もちろんカメラとして基礎的な実力も十分に高い上に、アダプターを使えば同じキャノンのEF系のレンズも使えるので、初心者だけでなく、中級者や既にキャノンの上位機種を持っている人のサブ機などにもオススメですよ!
EOS Kiss M レビュー【外観&基本スペック】
外観
前面
前面はレンズロックボタンのみのシンプルな構成。グリップはそこそこ深く小型の機種の中では持ちやすい部類に入る。
ファインダー & バリアングル液晶
従来の一眼レフのようにファインダーを覗いて撮る事も出来るし、スマホのように画面タッチで撮ることも出来る。液晶画面は二軸のバリアングルを採用。
ファインダーを覗くと自動的に液晶がオフになるアイセンサー搭載。
ダイヤルはシャッターボタンに一つ
ダイヤルはシャッター同軸に一つだけ。kissシリーズは一眼レフの時代から1ダイヤルで、露出補正は専用ボタンを押してからダイヤルを回すという2アクションが必要。
右手ですべて操作できるボタン配置
デジタル一眼には珍しく左肩には何も配置されておらず、全てのボタン操作が右手だけで可能なように配置が工夫されている。
十字キーにも必要な機能が割り当てられており、機能がプリントされているので初めてでも迷わず操作出来る。
全体的にボタンは少なめなので中級者には物足りないかも。
内蔵フラッシュ
フラッシュは自動ポップアップではなく必要な時に自分で引き起こすタイプ。なので暗い所で撮ろうとしたらフラッシュが勝手にポップアップして焦る、という事は起きない。
バッテリー室
バッテリーのフタは横にスライドしてから開ける。バッテリー室内にSDカードのスロットがある。
SDカードスロットが独立していないのはこのクラスのお約束のようなものだが、カードの出し入れはちょっとめんどくさい。
EOS Kiss Mの基本スペック
入門機としてはかなり高画素となる2410万画素APS-Cセンサーを搭載している点がポイントです。
さらにオートフォーカスがキャノン一押しのデュアルピクセル位相差AF搭載になっていて、従来のミラーレスの弱点と言われていた動いている物へのピント合わせがかなり改善されています。
あと画像エンジンも最新のDIGIC8に進化していて、瞳AFにも対応しています。
イマイチな点は、バッテリーの持ちが悪いのと動画が4K30pに対応していない点です。
しかし全体的にはキャノンらしい堅実で隙の無いスペックだと言えるでしょう。
初心者でも大丈夫 EOS Kiss Mの撮影アシスト機能をレビュー
シャッターを押すだけ!「シーンインテリジェントオート」
EOS Kiss M には、カメラを始めたばかりで露出とか絞りとかまだよくわからない人のために、シーンインテリジェントオートという「押したら撮れる」モードが搭載されています。
シャッターを押すだけで被写体が人物なら顔を明るく自然な肌色に、風景なら色をより鮮やかにカメラが自動調整してくれるので、このモードに合わせておけば最初はとにかく構えて撮る!だけでもそれなりにいけます。
クリエイティブアシストでさらに自分好みに
この「シーンインテリジェントオート」の優れている所は、完全にカメラ任せにするのではなく、撮影者がある程度自分の好みの仕上がりに調整できる所にあります。
オートモードの筆のマークをタッチすれば、「背景ぼかし」とか「明るさ」とか「鮮やかさ」といった感じで専門用語ではなくわかりやすい言葉で簡単に設定を変更することができます。
<設定可能項目>
・背景ぼかし (ぼかす、くっきり)
・明るさ (暗く、明るく)
・コントラスト (弱め、強め)
・鮮やかさ (すっきり、鮮やか)
・色合い (ブルー、アンバー、マゼンダ、グリーン)
・モノクロ (白黒、セピア、青、紫、緑)
夜景やスポーツは「スペシャルシーン」モードで
今日は撮るものが決まっている、そんな時はこの「スペシャルシーン」モードを使いましょう。
カメラがそのシーンに合わせて、例えば「スポーツ」ならシャッター速度を早め&AFを追従モードに、「風景」ならピントが合う範囲を広げるために絞り込むにといったように、撮りたい被写体に合った設定にカメラが自動で合わせてくれるので、より簡単に撮影できます。
<選択可能シーン>
・自分撮り
・ポートレート
・美肌
・風景
・スポーツ
・クローズアップ
・料理
・流し撮り
・手持ち夜景
・HDR逆光補正
・サイレントモード
「クリエイティブフィルター」で簡単に自分オリジナルの色を出す!
最近はSNS用にスマホに画像編集アプリをたくさん入れている人も多いと思います。
EOS Kiss Mには7種類のフィルターがプリセットされていて、適用すれば撮りながら仕上がりのイメージを確認できるのでスマホに転送してからの編集にはない楽しさがあります。
個人的に気に入ったのは「ラフモノクロ」と「トイカメラ風」ですね。普通の撮影に飽きてきたときとかおすすめです。
<選択可能効果>
・ラフモノクロ
・ソフトフォーカス
・魚眼風
・水彩風
・トイカメラ風
・ジオラマ風
・HDR絵画調標準
・HDRグラフィック調
EOS Kiss Mダブルズームキットに付属するレンズ
EF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STM
いわゆる「標準ズーム」といわれるレンズです。とても軽量なので、撮るものが決まっていない日はとりあえずこのレンズを付けて持ち出せば良いでしょう。
写真の状態は収納時で、撮影時にはズームリングを回してレンズを伸ばす必要があります。
AF(オートフォーカス)は静音モーターが使われているので昔みたいに「ジーコージーコー」とモーター動作音がすることなく「スゥッ」と合う感じで、とても初心者モデルとは思えない性能だと思います。
EF-M55-200mm F4.5-6.3 IS STM
遠くのものを大きく写したい場合に活躍する望遠レンズです。スマホとは比較にならないぐらいの望遠撮影が可能になる上、ボケ味も大きくなるので特に最初は使っていて楽しく感じるレンズです。
一般的に望遠レンズは手振れがしやすくなるのですが、手振れ補正が搭載されているのでその点も初心者は安心ですね。
ただ自分の個体はテレ側(望遠側)の絞り解放では画面端の解像がかなり甘くなります。人を撮る場合は良いですが、風景の場合はなるべく1段以上絞って使うようにしています。
EOS Kiss Mレビュー【実際に使ってみて】
小さくて軽い。いつでも持ち歩ける
もうとにかくこれに尽きると言っても過言ではないぐらい軽いです。
メインで使っているフルサイズのEOS Rはレンズ入れたら1.5キロぐらいあるので時々手首がもげそうになるのですが、それに比べればEOS KissMはほとんどタダみたいな軽さです(笑)。
あたりまえですが、いくら高性能でも持ってなければ写真は撮れないので、このいつでも持って出ようと思える小ささと軽さは本当に正義だなと思います。
電子ビューファインダーはやっぱり必要
カバンの収まりはファインダーのでっぱりの無い「EOS M100」の方が断然いいんですが、実際持ち出すときは自然とこちらのEOS Kiss Mに手が伸びます。
晴れた昼間の場合、液晶画面だけだとどうしても画面が反射して微妙な露出がわかりにくいことがあります。その点でファインダーのついているEOS Kiss Mがやっぱり断然安心なんですね。
あとよく言われる電子ビューファインダーの「見え方」についてですが、確かにこのカメラのファインダーはフルサイズ機のEOS Rほど広くなく解像度も粗いです。
ですが、そもそもこの機種でマニュアルでピントを合わせたり、厳密な色味がどうとか追い込むことがないのでファインダーの質で困る、ということは今まで全くありませんでした。
自分もそれなりに長く一眼レフを使っていますが、Kiss Mのファインダーはこのクラスでは十分に実用的だと思います。
小さくてもちゃんとキャノンの色
昔からよくメーカーごとの色があると言われていました。例えば「ペンタックスは緑の発色が良い」「富士フィルムは彩度が高く色鮮やか」「ニコンは金属の質感が素晴らしい」などです。
そんな中キャノンの「色」の特徴はずばり「人肌」だと言われています。もちろん今はデジタルの時代なので色味はレタッチである程度どうにでもなるのですが、それでも人の肌色の表現はキャノンが一番だと思います。
このEOS Kiss Mも入門機ですが上位機種と同じ発色の傾向があるので、例えばEOS Rと二台持ちで撮影した場合でも、極端に色味を編集する必要がないのでとても楽です。
タッチアンドドラッグAFはめちゃくちゃ便利
ちょっと慣れが必要ですが、慣れればこの「タッチアンドドラッグAF」機能めちゃくちゃ便利です。
カメラを構えてファインダーを覗いたままの状態で、空いている親指で液晶画面をなぞることでフォーカスポイントを移動できます。
以前はフォーカスポイントが少なかったり、移動が面倒だったりで結局中央のフォーカスポイントでピントを合わせてからカメラを振ったりしていたのですが、この機能が付いたおかげでそういった動作がなくなり、より構図に集中できるようになりました。
カメラを振ることで起きるピントずれもなくなるので、是非使いこなしてほしい機能です。
DPAFで動体にも強い
一昔前はミラーレス一眼はAF(オートフォーカス、自動ピント合わせ)が遅いと言われていました。確かにその通りだったのですが、最近は技術革新のおかげでかなりミラーレス一眼のAFも改善されてきました。
このEOS Kiss Mもキヤノン自慢の「デュアルピクセルAF」が搭載されていて、Kiss M以前のミラーレス一眼とは比べ物にならないほどのAFの高速化を実現しています。
もちろん最新のモデルと比較すると「食いつきが悪いなー」と感じることはありますが、野鳥や戦闘機といったハイレベルなものでなければ動いている被写体も十分に補足可能です。
スマホ転送でPCいらず
当然このEOS Kiss Mにもスマホへの転送機能が搭載されているので、撮った写真をすぐにその場でスマホでレタッチして、インスタやXなどのSNSにアップできます。
これは例えばテーマパークとか一日外出の時などは、家に帰る前にスマホで確認作業ができるのでとても役に立っています。
さらにデータ転送だけでなく、リモートシャッターにもなるので、夜景撮影などもリモコンとか別に買う必要が無いのもうれしいですね。
アダプタ経由でキャノンのレフ機用レンズが使える
これはキャノン使い限定かもしれませんが、一眼レフ用のEFレンズがアダプター経由で使えるので今あるレンズ資産が流用できます。
実際に使ってみてもストレスなく動作するので、現在キャノンのレフ機を使っている人はEOS Kiss Mをサブ機として導入するのもアリだと思います。
但し、サードパーティー製のEFレンズ(タムロンやシグマ)はサポート外なので、その点は注意が必要です。
EOS Kiss Mレビュー【イマイチなポイント編】
バッテリーが持たない
これはEOS Kiss Mに限った話ではないのですが、ミラーレス一眼はとにかくバッテリーが持ちません。
一眼レフからの乗り換え組は必ずびっくりすると思います。それぐらい持たないです。
このEOS Kiss Mもテンポよく撮ればカタログ値の235枚よりはかなり多く撮れますが(毎回500枚以上は余裕で撮れる)、最初慣れるために色々設定を変えたり、無駄にファインダーを覗いたりとかしていたら100枚撮れませんでした。
買う時は予備バッテリーの値段を含めて予算を立てたほうが無難でしょう。
サイレントシャッターの制限が残念
サイレントシャッターとはいわゆる「カシャッ」というシャッター音を消して撮影する機能です。
EOS Kiss Mも「スペシャルシーンモード」で「サイレントモード」を選べばシャッター音を消して撮影できるのですが、フルオート撮影のため、絞りやシャッタースピードの変更おろかISOもAUTOでしか撮れません。
この上位機種との差別化のためのあからさまな機能制限はキヤノンの伝統と言えるものなので、中級者はサイレントシャッターは無いものと考えておきましょう。
標準レンズなのにズームロックの謎仕様
ダブルズームキットについてくる標準レンズはいわゆる「沈胴式」と呼ばれるタイプで、普段は短く収納しておいて、撮影時には撮影ポジションに引き出します。
このレンズを撮影ポジションに引き出す時にロックスイッチを押しながらズームレンズを回す動作がとてもやりにくい。何度やってもスムーズにできない。
ロックスイッチがあるのは誤動作を防止するためだとは思いますが、せめて伸長時はロックスイッチ無しでズームリングを回すだけで撮影位置にセットできるようにして欲しかったです(オリンパスの旧14-42などはそうなっている)。
最近では面倒なのでもう収納ポジション使わずに撮影ポジションのまま転がしてます。
ここまでくると2ダイヤルにしてほしかった
ある程度初心者を卒業すると、露出補正を頻繁にするようになります。てか毎回します。
キャノンの中級機はすべて2ダイヤル仕様なので露出補正はサブダイヤルに割り当てられるのですが、EOS Kiss Mは一眼レフのKissと同様1ダイヤル仕様なので、露出補正は十字キーの上を押してからダイヤルを回すという2アクションが必要です。
たったボタン一つの手間ですが、どうしてもファインダーから目が離れてしまうので、とてもめんどくさい。
オリンパスもPENシリーズとかは1ダイヤルなので仕方ないと言えば仕方ないですが、これさえなければ本当にEOS Rのサブとして使えるんじゃないかと思えるぐらいカメラとしての性能が高い分、余計に残念に思います。
対応レンズが少ない
上記の表をご覧ください。これは現在売られている主要メーカーの対応するレンズ数をまとめたものですが、キヤノンのEF-Mマウントは他と比べて圧倒的ににレンズが少ないのがわかると思います。
EF-Mマウントは登場してもう8年たつのに、比較的最近に登場したばかりのニコンのZマウントに純正の数でもう負けちゃってるじゃないですか。
もちろんZマウントはフルサイズ規格なので、サイズや価格が比較の対象にはなりにくにのはわかりますが、EF-Mマウントには手振れ補正付きの標準域の明るい単焦点とか無いですし、パンケーキも22mm(換算35mm)しかありません。望遠も200mm(換算320mm)止まり。
ユーザーの意見としては、自前で用意できないのであればレンズ規格をサードパーティーに積極的に開示するなどして、もう少しレンズ群の魅力を高めてほしい所です。
**2024年追記 残念ながらEF-Mマウントは廃止されました。今後交換レンズは中古でしか手に入らないと考えておきましょう
EOS Kiss M レビュー【実写性能テスト編】
高感度ノイズテスト
ISO 100
ISO200
ISO 400
ISO 800
ISO 1600
ISO 3200
ISO 6400
ISO 12800
ISO 25600
<参考>EOS R(フルサイズ) ISO6400
個人的にはISO3200は十分常用可能で、WEB用ならISO6400でも使えるレベルだと感じます。
フルサイズのEOS Rと比較するとマイナス2段分程度劣る感じですが、価格や、2400万画素と高画素であることを考えるとこれはかなり健闘しているのではないでしょうか。
欲を言えば、初心者向けモデルなので2000万画素程度に抑えてその分高感度性能があがれば、実用面ではより良かったのにと思います。
EOS Kiss Mレビュー【作例編】
2400万画素は石のつなぎ目まで描き分ける、こうなるとややレンズが負けるか。
望遠レンズ使用。ボケは一段絞るとなだらかで美しい。
望遠レンズ使用。緑の発色やレンガの質感の描写も良い。ボケも素直。
標準レンズは絞ればキリリ。街中と相性は良い。
望遠レンズ使用。かなり暗い所だったが暗部の諧調も余裕がある。
まとめ:迷ったらコレ!EOS Kiss Mは万人受け間違いなしの新定番ミラーレス一眼
以上、EOS Kiss Mを実際に使い込んだ視点でのレビューでした!
このEOS Kiss Mは正直言ってエントリークラス以上の出来だと思います。
普段EOS Rを使っている身からすると確かに1ダイヤルが不便だったりとかファインダーが小さかったりとか粗を探せば随所に物足りない所はあるのですが、小さくて軽くて連射できてAFも早くて2000万画素超えとか、普通の写真好きな人が普通に使う分には十分すぎる内容だと思います。
発売からかなり経過して中古価格も相当にこなれてきた現在、程度の良い良品に巡り合えればかなりオイシイカメラではないでしょうか!
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