こんにちは!カメラ歴15年、カメラ総購入台数25台のNEKO(ねこ)です!
ミラーレス一眼が市場に登場してしばらく経ちましたが、初めてのミラーレス一眼のデビューは一眼レフよりミラーレス一眼で、という人もずいぶんと増えたのではないでしょうか。
各社より魅力的なエントリー向けミラーレス一眼が発売されていますが、今回は「EOS Kiss M(初代)」と「E-M10MarkIII」を実際に比較してみたいと思います。
「たくさん売れているから自分にも合う」とは限りませんから、もしこれからミラーレス一眼の購入を予定しているなら、この記事を参考にどちらが自分により合っているのかしっかりと比較検討してみてください!
EOS Kiss Mはこんなミラーレス一眼カメラ
初めてキヤノン伝統の「Kiss」の名前を与えられたミラーレス一眼
EOS Kiss Mは「初めてでも一眼カメラの楽しさを十分に味わってほしい」、きっとそんな願いを込めて長年リリースされてキヤノン「Kiss」シリーズのミラーレスモデルです。
初心者でも気軽に綺麗な写真が撮れるように、とにかく軽く、そして簡単に操作できるように工夫されています。
正直キヤノンはミラーレス一眼の参入自体はそれほど早くなかったのですが、2018年に満を持してこの「EOS Kiss M」が発売されて以来後継機のEOS Kiss M2と合わせて特に初心者層にヒットしたベストセラーミラーレス一眼です。
中級機に匹敵するセンサーとエンジンを搭載
このEOS Kiss Mの売りは、なんといっても肝心の「写り」の部分で一切手を抜いていない事です。
写真の出来を決めるイメージセンサーはAPS-Cサイズの2410万画素、画像エンジンは最新の「DiGiC8」と中級機であるキヤノン二桁D機に匹敵するものが使われています。
あくまでエントリー向けなので連射速度が抑え目だったり、付属レンズが高性能ではないなどの制約がありますが、風景やスナップといった被写体次第では中級機に遜色ない写真が撮れます。
E-M10 MarkIIIはこんなミラーレス一眼カメラ
オリンパスの中級機「O-M」シリーズの末弟
オリンパスのカメラというとあんまりイメージが無いかもしれませんが、実はオリンパスはカメラでも有名な歴史のある光学機器メーカーです。
現在はエントリー向けの「PEN」シリーズとミドルーハイクラスの「O-M」シリーズの2ラインアップですが、この「E-M10 MarkIII」は中級クラスの「O-M」シリーズの中で最も「安い」ミラーレス一眼です。
安いといっても中級クラスなので本格的な電子ビューファインダーを装備しており、何よりうれしいのはこの価格帯で唯一2ダイヤル仕様と中級機と同じ操作系を採用している点です。
残念ながらオリンパスは2020年にカメラ事業から撤退してしまいましたので(OMシステム社に譲渡)、今となっては「オリンパス」ロゴが入った貴重なモデルになってしまいました。
強力なボディ内手振れ補正を内蔵
オリンパスで有名なのはその手振れ補正機能の強力さです。
対するキヤノンがレンズ内補正にこだわるのに対して、オリンパスは早くからボディ内手振れ補正を採用しており、どんな廉価なレンズでも手振れ補正をかけることができるのが強みです。
ではまず二つのモデルの外観を比較してみましょう。
二つのモデルの外観比較
現代的な「EOS Kiss M」クラシックな「E-M10MarkIII」
「EOS Kiss M」は標準的のミラーレス一眼のスタイルです。一方で「E-M10 MarkIII」はクラシックカメラをモチーフにしたデザインが採用されています。
特に性能に関する違いではありませんが、ここは完全に好みが分かれるポイントだと思います。
後述しますが「E-M10 MarkIII」の方が中級機に準じた操作体系となっており、慣れれば便利な反面、最初はボタンやダイヤルが多くとっつきにくい印象があるかもしれません。
重量はほぼ同じ
続いて重量です。標準レンズとメモリーカードを装着した状態で実測しました。差は13gなのでほぼ同じといって良いでしょう。
EOS Kiss Mは2軸バリアングルモニター搭載
二台とも最新のミラーレス一眼らしく可動式モニターを装備しています。
よくあるチルトタイプモニターを採用している「E-M10 MarkIII」に対して、「EOS Kiss M」は2軸バリアングルモニターを採用しています。
2軸バリアングルはどんな態勢にも対応できる反面ワンタッチで展開できない、チルトモニターは手軽だが縦位置に対応していない、とそれぞれ欠点があるので、縦位置写真でハイアングルやローアングルをどれだけ撮るのかイメージしてみましょう。
EOS Kiss Mのグリップは深くて握りやすい
「EOS Kiss M」はレフ機並みに深いグリップが備わっているのに対して、「E-M10 MarkIII」には気持ち程度のグリップしかありません。
これは重量級の望遠レンズなどを付ける時はグリップが深い「EOS Kiss M」が有利だということですが、そもそもミラーレス一眼のEOS-Mシリーズには大きな望遠ズームレンズはないので特に利点とはならないかもしれません。
グリップの薄い「E-M10 MarkIII」の方がレンズの薄さと相まってカバンへの収まりは断然良好です。
E-M10 MarkIIIの電動ズームレンズは慣れが必要
この二台のレンズキットに付属する標準レンズにはかなりの違いがあります。
「EOS Kiss M」に付属するのは普通のズームレンズですが、「E-M10MarkIII」はズームリングがレバー操作になっている電動ズームレンズとなっています。
できることは一緒なのですが、電動ズームレンズはすばやく操作できないのと、なかなか思ったところに止めるのが意外と最初は難しく感じたので、(慣れの問題ですが)普通のズームレンズに慣れている人は注意が必要です。
とはいえそのレンズの薄さはかなり便利で、横にしたまま薄いカバンにそのまま入るのは、ちょっとカメラを持ち出すといった用途には最適だと思います。
一方の「EOS Kiss M」のレンズは「沈胴式」といって撮影時にはいちいちロックレバーを操作して手動で上の写真の状態に引き出す必要があり、これがちょっと面倒に感じました。
広角はEOS Kiss Mの方が広く写る
標準レンズの広角側はキヤノンが24mm~、オリンパスが28mm~です(35mm換算)。
たった4mmの差ですが広角側の4mmはかなり大きく、表現力や後ろに下がれない状況では「EOS Kiss M」が断然有利でしょう。
フルサイズでも以前は標準レンズの広角側は28mm~が普通だったのですが、今は24mm~が普通になってきました。このあたりにしっかり合わせてくるのは流石キヤノンと言った所です。
E-M10 MarkIIIはサブダイヤルがあるので露出補正がクイック
操作部はどちらも似たような構成ですが、一つ大きく違うのは「EOS Kiss M」が前ダイヤル一つに対して「E-M10MarkIII」は前ダイヤルに加えて、右手親指の位置にサブダイヤルが装備されているという点です。
サブダイヤルがあった方が、例えば絞り優先モード(通称Aモード)で一方のダイヤルにF値を割り当てた状態で、もう一方のダイヤルに露出補正を割り当てることができるので、ちょっと明るさを微調整したい場合にダイレクトで操作できるので大変便利です。
一方でサブダイヤルの無い「EOS Kiss M」は露出補正は露出補正ボタンを押してからダイヤルを回す、という余分な手間が必要となります。
二つのモデルの性能比較
スペック比較
2機種のカタログスペックを比較してみましょう。
「EOS Kiss M」はエントリークラスにしてはかなり贅沢なスペックと言えます。特に「2410万画素」、「位相差AF」、「最大連射数10コマ/秒」などは一昔前のプロ機に匹敵する性能です。
対する「E-M10MarkIII」は画素数が「1605万画素」、AFも「コントラストAF」とKissMと比べるとやや物足りない印象を与えるかもしれませんが、それでも入門機としては十分なスペックであるといえます。
センサーサイズ、画素数比較
イメージセンサーは「EOS Kiss M」が2410万画素のAPS-Cセンサー、「E-M10MarkIII」は1600万画素のマイクロフォーサーズセンサーを搭載しています。
一見画素数が大きい方が綺麗な写真が撮れるイメージがあるかもしれませんが、実は画素数が大きいほどレンズに対する要求も大きくなるので、一長一短です。
A3用紙程度の大伸ばしプリントでも1000万画素あれば十分と言われており、普通の人がスマホやタブレットで鑑賞するのであれば「E-M10MarkIII」の1600万画素程度でも十分です。
対応レンズ数比較
ここははっきりと差が出ました。パナソニックと規格を共有するオリンパスの「E-M10MarkIII」の方が別売レンズの数では圧倒しています。
数だけでなく、価格帯もオリンパスの方が買いやすい価格のレンズが多いです。
しかし「EOS Kiss M」は別売のマウントアダプターを使えばキヤノンの一眼レフ用の豊富なレンズ群を使えるようになるので、人によってはそこに魅力を感じることがあるかもしれません。
高感度ノイズ比較 (暗い所の画質)
<RAWをLightroom「ノイズ軽減」0でストレート現像>
暗い所で撮る時カメラの感度を上げて撮りますが、一般的に感度が上がればノイズが出るのでザラザラした画質になりがちです。
感度を上げても(ISOの数値を上げても)ザラつきが出にくいセンサーを搭載したカメラは、暗い所でも綺麗に撮れるカメラだ、と言うことができます。
見たところ両機種ともに高感度ノイズは同じぐらいです。つまり暗所性能はほぼ同じと言えます。
一般的にはセンサーサイズが大きい方が光を多く取り込めるため高感度性能は有利なのですが、同時に解像度が高いほど1画素あたりの光の量は小さくなるため逆に高感度性能は下がります。
今回の組み合わせでは、「EOS Kiss M」の大きいセンサーの利点と、「E-M10MarkIII」の無理をしていない画素数の利点が打ち消しあった形になったようです。
手ぶれ補正性能比較
<50mm相当レンズで5枚撮影して3枚手ぶれしなければ〇>
手ブレ補正に関してはわずかに「E-M10 MarkIII」の方が優秀なようです。
決して「EOS Kiss M」が悪い訳ではないのですが、「E-M10MarkIII」はもともとセンサーが小さく画素数も控えめ、という手ぶれしにくい条件が揃っていることもあるのかもしれません。
ボディ内手ブレ補正内蔵の「E-M10 MarkIII」は安い単焦点レンズなどにも手ブレ補正を効かせられるので、その点では初心者にはより扱いやすいと言えるでしょう。
付属レンズでの解像感比較
画像を等倍以上に拡大してみて両者の解像感の違いをテストしてみました。予め断っておきますがこれは2400万画素のEOS Kiss Mが完全に有利なテストです。
ぱっと見両者の違いはわかりませんが、大きく拡大するとEOS Kiss Mはまだ解像を保てているのに対して、E-M10MarkIIIはギザギザが出ています。
もちろんこれは画素数が抑えめなE-M10MarkIIIの方が解像の限界が早く出るので当然の結果ですが、解像感に関してはEOS Kiss Mの2400万画素APS-Cセンサーの方が上だと言うことができるでしょう。
逆の言い方をすればこれぐらい極端に拡大しなければ2400万画素と1600万画素の違いは現れないとも考えることができます。
EOS Kiss Mが勝っているところ
2400万画素の高画質
EOS Kiss Mの一番の強みはやはり2400万画素からくる高解像度な画質だと思います。
APS-Cセンサーに2400万画素の組み合わせは中上級機並で、ハマればかなり高精細な画像を出してくれます。
このあたりは画素数で割り切った仕様のE-M10MarkIIIにはない部分だと思います。
Wi-fi接続が超快適
アプリの出来はオリンパスと比べてかなり快適です。
特にBluethoothのペアリングをしておくと、アプリを起動するだけでWi-fiが接続されるのでとても便利です。
グリップがしっかりあって安心感がある
EOS Kiss Mは一眼レフと同じ見た目を採用しているので、そこそこ深いグリップがあります。
本体はとても軽いのでそこまで持ちやすさにこだわる必要も無いと言えば無いのですが、持ってみるとその差は歴然で、やっぱりキヤノンは一眼レフのメーカーなんだなと感じます。
キヤノンの一眼レフ用のレンズが使える
これはキヤノンの一眼レフユーザー限定ですが、やはり手持ちのレンズ資産が利用できるならそれに越したことはありません。
よっぽど古いレンズでなければアダプターで遜色なく動作しますので、例えば一眼レフからミラーレスに移行するときでも、出費を最小限に抑えることができるのは嬉しいことです。
プロ用レンズのLレンズを使えば、付属レンズでは味わえないような写真が撮れるのもキヤノン強みかもしれません。
E-M10 MarkIIIが勝っているところ
サブダイヤルに露出補正を割り当てられる
これはE-M10MarkIIIで一番良いと思った所ですが、やっぱりサブダイヤルがあると圧倒的に使いやすくなります。
ファインダーをのぞいたままダイレクトに露出補正ができて、しかもミラーレスなので露出具合がそのままファインダーに反映される、というのは本当に快適です。
この操作性に関してはE-M10MarkIIIは中級機に近い感覚で撮影することができると言ってしまってもいいんじゃないかと思います。
レンズを問わず手ブレ補正が効く
「E-M10MarkIII」はボディ内に手ブレ補正が内蔵されているので、使用レンズを問わず手ブレ補正をかけることが可能です。
別売レンズの中には手ブレ補正が省略されているものも結構多いので、EOS Kiss Mの場合は組み合わせによっては手ブレ補正が無い状態が発生します。
しかし「E-M10MarkIII」であれば安価な単焦点レンズでも手ブレ補正が効くので、その点は初心者には安心ですね。
アートフィルターの数が多い
上から「通常」「ポップアート」「ファンタジックトーン」「ビンテージ」
どちらの機種にも「アートフィルター」(キヤノンは「クリエイティブフィルター」)が搭載されていますが、フィルターの種類は断然オリンパス機の方が多いです。
「E-M10MarkIII」は「EOS Kiss M」にはない「ドラマチックトーン」や「ブリーチバイパス」といったアート系のフィルターが充実しており、特に街撮りやスナップをする人は楽しめると思います。
コストパフォーマンスが高い
基本的に、「E-M10MarkIII」は「EOS Kiss M」よりも安く売られていることがほとんど(ダブルズームキット比較)。
とは言え、確かに画素数やAF方式など、その価格分の性能の違いはあるかもしれませんが、普通に写真を撮ってSNSに上げたりプリントしたりする分には、この性能の差が出ることはほぼありません。
そう考えるとこの「E-M10MarkIII」のコスパの良さは際立っていると言えますね。
まとめ:性能面は拮抗。どちらを選んでも間違いないので見た目で決めても大丈夫!
いかがだったでしょうか?この記事の内容をまとめると以下のようになります。
EOS Kiss Mが向いている人は次のような人です。
<EOS Kiss Mが向いている人>
● 細部まで画質にこだわる人
● みんなが持っている物が安心できる人
● もしかしたら結構本格的にカメラにハマっちゃうかもしれない人
● 既にキヤノンの一眼レフを使っている人
対してE-M10MarkIIIが向いているのは次のような人でしょう。
<E-M10MarkIIIが向いている人>
● 必要十分以上の画質を求めない人
● クラシックカメラの外見に痺れる人
● コンパクトさ重視の人
● コスパ重視の人
もし自分に当てはまらない項目がいくつかあったとしても、そのカメラが向いていないということはないでしょう。それくらいこの2機種の実力は拮抗していたので、ぶっちゃけ最後は価格と見た目勝負になるかなと思います。
どちらのカメラもミラーレス一眼としての高い性能を持っていて、スマホやコンデジとは別次元の撮影が可能になりますので、是非早く手に入れて撮影を楽しむことをお勧めします。
この記事の内容が皆さんのお役に立てれば嬉しく思います。最後まで読んでくださってありがとうございました。
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