

神戸異人館 どちらも実際よりかなり暗く露出補正してある
皆さん楽しく撮影していますか?一眼を始めた方が持つ悩みとして「いつも同じ写真しか撮れない」「撮る写真がスマホと変わらない」というものがあります。そんな方に是非身に着けてほしいのが今回のテーマである「露出補正」です。これは自分だけの写真表現を身につける上で最も簡単でありかつ重要なステップなのでぜひ身に着けてください
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露出補正は「自分の写真表現」への第一歩

落ち着いた感じの写真が好き(自分の写真で恐縮ですが・・・)
インスタとかブログとか見ていると、この人の写真雰囲気あって好きだなぁと思うことありますよね?で、自分も真似しようと思って同じような写真に挑戦してみるけど、イマイチ思うようにならない。何故なんでしょう?もちろん上手な写真を撮る人の中には高いカメラを使ったり、アプリを使って丁寧にレタッチして仕上げているかもしれませんが、それだけなのでしょうか?

実際の見た目の明るさは実はこのくらい
実は写真表現で最も重要なのは「露出」です。この「露出」の意味はこれから説明しますが、写真は見たままに写れば良いという訳ではありません。もちろん記録写真のように現実をありのままに写し出すことが大切な場合もありますが、写真を「作品」にしたいなら自分のイメージ通りに撮る必要があります。つまり「自分表現写真」を撮るためには、「見たまんまの写真」から卒業することが第一歩なのです。写真の明るさはシャッターを押す瞬間に決まります。多少は後からレタッチできますが、限度があります。つまり「雰囲気のある写真」を撮る人は、もちろんレタッチも上手かもしれませんが、この撮影時の明るさのコントロールが上手い人であることがほとんどなのです。

露出補正のイメージ
ではこの撮影時の露出はどうやってコントロールするのでしょうか?もちろんこれは「光の向き」とか「強さ」とか「時間帯」とか「天気」とか言い出したら何時間でも議論できるネタなのですが、ここではまず初めに誰でもできることとして、カメラの「露出補正」機能を使って明るさをコントロールすることで、写真に「自分なりの表現」を与えてみたいと思います。
そもそも露出補正って何?
「露出」とは「写真の明るさ」。いつもカメラが自動で決めている
昔のカメラには「オートモード」とかはありませんでした。
まず「露出」とは、簡単に言うと「写真の明るさ」のことです。そして聞いた事があると思いますが、この写真の明るさ(露出)は「シャッタースピード」「絞り」「ISO感度」の3つの要素の組み合わせで決まります。昔のカメラは状況に応じてカメラマンがこの3つの要素を毎回自分で設定しなければならず、失敗すると真っ黒や真っ白な写真になってしまいました。これには勘や経験が必要で、昔のカメラマンが専門の技術を持つ人の職業として成り立っていたのもうなずけます。
今のデジカメは色々なモードがあって、ほとんどカメラが自動で設定してくれる
時代は流れて今は誰でも簡単にスマホでも何でも押すだけで写真が撮れるようになりました。しかしこれは露出がなくなったわけではなく、技術が進歩してカメラが自動で露出を設定してくれるようになったからです。なのでスマホでも一眼レフでも、ほとんどの人は露出の知識なしでも特に困らないはずなのです。

でも、カメラ任せの自動露出には限界がある(逆光で顔が暗い)
しかしそれでもやはり機械のすることですから、状況によっては思っているのと違う明るさになってしまうことがあります。昔から言われる「逆光で人を撮ると顔が暗くなる」とかはその最たる例でしょう。でもほとんどの人は露出の三要素の知識なんてありませんから、どうすればいいのかなんてわかりませんよね?それで登場した機能がこの「露出補正」です。この露出補正機能を使えば、誰でも難しい理屈抜きで、写真の露出を(ある程度)コントロールできるようになるのです。
補正とは写真の明るさを微調整する機能

真ん中が「カメラ任せ」で撮った画像 実際の明るさとほぼ同じで撮れているがありきたりでもある
「露出補正」とは、言うなれば「カメラが決めた露出に人間側が口を出す機能」です。カメラが「これぐらいの明るさで」と決めた数字に対して、人間が「いやもうちょっと暗めで」とか「もっと明るく」とリクエストする機能と言えます。上の画像は実際に露出補正をした画像ですが、「-2EV」は暗く(アンダーと言います)、「+2EV」は明るく(オーバーと言います)なっているのがわかりますよね?
EVとは簡単に言うと写真の明るさの単位です。EVが1増減するとそれは明るさが倍や半分になることを意味しますが、今はそれほど深く考えずに、+の方向に増やせば明るくなる、-の方向(減らせば)暗くなると理解するだけでOKです。
カメラが露出を自動で決めてくれるのに、なぜ露出補正をする必要があるのかは、とても大事な話なので、下の方で説明しますのでここでは一旦飛ばします。とにかく、露出補正とはカメラが決めた明るさを明るくしたり暗くしたりできる機能、と覚えて下さい。
とにかく実際に露出補正をやってみよう
露出補正はできるのは「P、A、Tv」モード

フルオートモードでは露出補正できない機種が多いので注意
では論より証拠、早速手持ちのカメラで露出補正をやってみましょう。具体的な操作方法は機種によって違うので、可能なら取扱説明書を参照するとスムーズです。
ちなみに「シーンインテリジェントオート」や「シーンモード」といった完全なカメラお任せ全自動モードではこの露出補正を受け付けない設定になっているカメラがほとんどです。また、露出をすべて自分で決める「M(マニュアル)」モードも露出補正ができない機種が多いです。今回はお試しなので一番簡単な「Pモード」に合わせておきましょう
まず構図とピントを合わせよう

まずは構図を決めてシャッターを半押し、ここで一旦明るさをチェックする
まず構図を決めてシャッターボタンを半押ししてピントを合わせます(まだ撮りません、ピントを合わせるだけです)。なぜ先にピントを合わせるかというと、殆どのミラーレス一眼はピントを合わせと露出の設定を同時に行うからです。カメラによってはピント合わせと露出合わせを別々に行うことができるものもありますが、ここでは難しく考えずに、一旦シャッターボタン半押し操作をして、それから明るいか暗いかを見る、と覚えて下さい。
これで、普通の明るさの設定をカメラが自動でしてくれました。
露出補正をする

露出補正ボタンが用意されている機種の場合(EOS Kiss M、EOS M、PEN、α6400など )
それではいよいよ露出補正をしてみましょう。キヤノンのKissやM、オリンパスのPENやソニーのα6000系は初めに十字キーの露出補正ボタンを押します。すると露出補正モードになりますので、この状態でダイヤル(ソニーはサブダイヤル)を回すと、目盛りが左右に動いて画面が明るくなったり暗くなったりするはずです。

デフォルトでサブダイヤルに露出補正が割り当てられている機種の場合(O-MDなど)
オリンパスO-MDシリーズは最初からサブダイヤルに露出補正が割り当てられているので、シャッター半押しして一度離した後、そのままダイヤルを回せばOKです。ほかにもキヤノンEOS M5やソニーα7シリーズのように露出補正に専用ダイヤルが設けられている機種もあります。

露出補正専用ダイヤルがある機種もある(GX7、EOS M5 M6、α7など )
機種によって操作方法は異なるので、うまくいかないなら取り扱い説明書をダウンロードして参照してみて下さい。ちなみにこの露出補正の効き具合がリアルタイムに画面やファインダーに反映されるのはミラーレス一眼もしくは一眼レフのライブビュー撮影だけです。一眼レフのファインダー撮影の場合は撮ってから見返さないと露出補正の効果がわかりません。いわゆる「勘と経験」が必要なので、この点でもミラーレス一眼は初心者に優しいカメラと言えますね。
最後にもう一度ピントを合わせて撮る

最後にピントを合わせ直す事を忘れないようにする
自分が納得する明るさになったらいよいよ撮影します。最初に一度ピントは合わせていますが、ダイヤルを回すと当然微妙にカメラが動いてピントとか構図がずれるので、意図した明るさに補正できたら最後にもう一度きちんと構図とピントを合わせて撮影します。
うまく撮れましたでしょうか?この露出補正を利用して、カメラが決めた露出だけでなく色々な明るさの写真を撮ってみましょう。わざと暗くしたり明るくしたりしても全然OKです。現実の明るさではなく、自分のイメージに合う明るさで撮れるまで繰り返しましょう。
ちなみにこの露出補正の設定値は記憶されますので、例えばプラス補正したままだと以降の撮影が全てプラス補正されますので、ゼロに戻すのを忘れないようにしてください。
なぜ露出補正をする必要があるのか
では、なぜこのような露出補正をする必要があるのでしょうか?それには大きく分けて二つの理由があります。実はこの二つはすることは同じなのですが、目的は全く逆の事をします。順番に見てみましょう。
露出補正の目的1「カメラが合わせきれない露出を合わせる」

逆光で見た目より暗く写ってしまったので、適正露出に「合わせる」ために+調整をしている
実はカメラは被写体を勝手に「灰色である」と仮定して、それがちゃんと灰色に見えるように明るさを調整しています。ですから一面真っ白な被写体だとをカメラが「おや?白すぎるからちょっと暗くしよう」一面真っ黒な被写体だとカメラが「おやおや?黒すぎるから明るくしよう」と実際とは違う明るさに設定してしまいます。
露出をカメラが自動で決めると説明しましたが、じつはこのカメラ任せの露出には限界があります。具体的に言えば逆光時や真っ白、真っ黒な背景では正しく露出を設定することができないのです。もちろん一面白とか黒という場面はそうそう無いと思いますが、例えば人を撮るときに空がバックとか、背景の大部分が白っぽかったりすると、カメラが白い背景に引っ張られて露出を暗めにしてしまい、結果人の顔が暗めに写ってしまう、ということが起きます。この言わばカメラの限界を人間の目で調整してあげるのがこの「適正露出にするための露出補正」です。
露出補正の目的2「わざと適正露出を外して写真に表現を与える」
見た目は左に近いが、適正露出からわざと「外す」ために+3EVの調整をしている
もう一つの露出補正の目的が「わざと適正露出を外して写真に表現を与える」というものです。写真の「適正露出」とは、見たままの明るさを再現する露出を指しますが、写真を作品として考える場合いつも「適正露出」が正しいとは限りません。例えば右のバラの写真は花びらが完全に白飛びしてしまっていて、露出が適正とは言えません。しかし、表現として幻想的な雰囲気を出すためであれば、このような露出補正も多いにアリです。
露出補正を踏まえた撮影手順

必ず「明るさをチェック」しよう
以上のことを踏まえて、実際の現場でどのように露出補正を行うか手順を見てみましょう。初心者にありがちな事として、被写体を見つけて撮ったあとよくチェックせずに次に行ってしまい、後で見返して「思ってたのと違う」とがっかりしてしまうことがあります。ですから必ず一枚撮るたびに画像をチェックして、露出補正をしてもう一枚撮る、という癖をつけるようにしましょう。もし時間があれば、普段しないような思い切った露出補正もしてみましょう。自分では気づかなかったような面白い写真が撮れるかもしれません。そのようにして最初は偶然でも、徐々に自分の好きな写真表現を身に着けてゆくことができます。
露出補正を使いこなして「自分の写真表現」を身に着けよう
空に向けての撮影で桜が暗くならないように+2EV補正
ふんわりと優しい雰囲気を出すために+3EV補正
神戸異人館 シックで落ち着いた感じにしたかったので-1.7EV補正
淀川堤防 コンクリートの質感を出すために-1EV補正
いかがだったでしょうか?カメラを始めたばかりの人には少し難しく思うかもしれませんが、露出補正を使って自分の思い通りに明るさをコントロールできるようになると、写真の表現の幅がグッと広がります。これができればもう「カメラに撮らされている」状態を卒業したと言って良いでしょう。友達にも「写真が上手い人」と認識されるはずです。ぜひ頑張って身に着けるようにして下さい。
露出補正が自由にできるようになれば、いよいよ露出の基本である「シャッタースピード」「絞り(F値)」「ISO感度」を思い通りにコントロールできるようになりたいものです。順を追って記事にしますのでそれまではこの「露出補正」を使って楽しく作品作りをして頂けたらと思います。
この記事が皆さんの参考になれば嬉しく思います。最後まで読んで下さってありがとうございました。

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