キャノンの初心者向けミラーレス3台の性能を実際に比較してみた
ではここからは、おすすめで紹介した3台がそれぞれどのくらい違うのか、実際に比較してみましょう。
キャノンの初心者向けミラーレスのイメージセンサーを比べてみる
まず最初に心臓部であるイメージセンサーを比較しましょう。センサーサイズは大きい方が、画素数は多い方が基本的に高性能です
EOS R10 | EOS Kiss M2 | EOS RP | |
---|---|---|---|
センサーサイズ | APS-C | APS-C | フルサイズ |
画素数 | 2420万画素 | 2410万画素 | 2620万画素 |
常用最高感度 | ISO 32000 | ISO 25600 | ISO 40000 |
まずこの3機種の比較ですが、画素数は2410万画素から2620万画素と、それほど大きな違いはありません。
2400万画素と2600万画素って違いがわかるものなのかな?
たった200万画素の違いなんてプロが見てもわからないですよ。ここは気にする必要はありませんね。
大きく違うのはEOS RPはフルサイズセンサー、対してEOS Kiss M2とEOS R10は一回り小さいAPS-Cセンサーを使用しているという点です。
APS-Cとフルサイズって見てわかる位大きさが違うんですね!
一般的にイメージセンサーの面積が大きいほど、光がたくさん当たるので画質や高感度での撮影で有利と言われています。
なので純粋な画質での比較をするならば、本格的なフルサイズセンサーを搭載したEOS RPが有利、ということになります。
フルサイズとAPS-Cってそんなに大きく違うんですか?
フルサイズとAPS-Cは確かに大きな違いはあります。でも、その違いが写真に生きるかどうかはまた別の問題なので、それだけでは決められませんね
キャノンの初心者向けミラーレスの大きさと重さを比べてみる
では次に大きさと重さを比較しましょう。いくら性能が良くても持ち出せなければただの箱なので、どれぐらいのサイズなら扱えるのか見極めましょう
では次に、実際の大きさと重さを比較してみましょう。
まずはカメラボディ(レンズ無しの本体のみ)+バッテリー+メモリーカードの重量(メーカー公称値)を比較してみます。
EOS R10 | EOS Kiss M2 | EOS RP | |
---|---|---|---|
ボディ重量 (メーカー公称値) | 約429g | 約387g | 約485g |
予想通りフルサイズのEOS RPが最も重く、エントリー向けのEOS Kiss M2が最も軽いという結果になりました。
EOS RPはフルサイズなのに思ったほど重くはないんですね
EOS RPはフルサイズの中でも軽さに関しては別格です。でも、カメラはレンズを付けて初めてカメラなので、レンズ込みの重さで比較する必要がありますよ
ではさらに、レンズキットの付属レンズ込みの重量を見てみましょう。実際にキッチンスケールを使って測ってみます。
EOS R10 18-150 | EOS R10 18-45 | EOS Kiss M2 標準 | EOS Kiss M2 標準+望遠 | EOS RP | |
---|---|---|---|---|---|
レンズ込み重量 (実測値) | 約728g | 約549g | 約516g | 約805g | 約898g |
結構大きな差がついてしまいました。特にフルサイズのEOS RPは他に比べて重いですね。
予備のバッテリーとか考えたらほとんど1Kgじゃん
これは実はEOS RPが特別重いという訳ではなく、付属するレンズが原因です。
フルサイズのレンズは広い面積に光を集める必要があるため、どうしてもレンズ(ガラス)が大きくなるので重くなってしまうのです。
この辺りはフルサイズのデメリットなので、画質を取るかコンパクト&軽量を取るかで選択の分かれ目となりそうです。
重量が気になるなら多少の画質を犠牲にしても、軽量でコンパクトなレンズが中心のAPS-Cセンサー搭載機を選んだ方が良いですね
では次にサイズを比較してみましょう。
並べるとEOS Kiss M2の小ささが際立っているのがわかりますね。EOS R10もなかなかコンパクトです。
一方でやはりEOS RPは一回り大きく感じます。EOS RPはこれでもボディ単体ではフルサイズの中では驚くほど小型の部類に入りますが、巨大なフルサイズ対応レンズのせいで大きく見えてしまいます。
キャノンの初心者向けミラーレスの付属レンズを比べてみる
次にレンズキットに付属するレンズを比較しましょう。レンズが違うと撮れるものもかなり変わるので、自分が撮りたい物に合ったレンズキットなのか要確認です
では次に付属のレンズについても見てみましょう。
実はこの4機種(3機種?)それぞれ「写る範囲」がかなり異なります。
EOS R10 18-150 | EOS R10 18-45 | EOS Kiss M2 標準レンズ | EOS Kiss M2 望遠レンズ | EOS RP 24-105 | |
---|---|---|---|---|---|
広角側 (F値) | 29mm (F3.5) | 29mm (F4.5) | 24mm (F3.5) | 88mm (F4.5) | 24mm (F4) |
望遠側 (F値) | 240mm (F6.3) | 72mm (F6.3) | 72mm (F6.3) | 320mm (F6.3) | 105mm (F7.1) |
守備範囲が広いのは一番初心者向けのEOS Kiss M2で、レンズ2本ではありますが広角から望遠までの全てをカバーしています。
EOS R10(18-150レンズキット)もEOS Kiss M2ほどではないとはいえ、240mmと十分な望遠側の性能を確保しています。ただ広角側が29mmとやや写る範囲が狭いのが注意ポイントです。
対してEOS RPは広角側こそ24mmとEOS Kiss M2と同等ですが、望遠側は105mm止まりなので、本格的な望遠撮影をするには望遠レンズを別で用意する必要があるでしょう。
数字だけではわかりにくいので、実際に撮った画像で比べてみましょう。最初は広角側を比較します
これ、どこか違います?
確かに微妙な差ですよね。でもよく見ると上の二枚は手すりが切れています。写っている範囲がほんのちょっとだけ狭いんですね
どうでしょうか?EOS Kiss M2とEOS RPに比べてEOS R10だけどちらのレンズも写る範囲がやや狭いのがわかるでしょうか?
EOS R10だけ橋の向こうのビル群や手前の手すりが、画面外に切れてしまっています。
この差って大きな差ですか??
「小さい差」ではありませんが、昔は広角は28mm始まりが普通だったので、そこまで「全く使えない」というものでもありません。
これは、正直これから始める人であれば、そこまで気にするような違いではないように思います。
一方で中級者や、広角の写真にこだわる人にとってはこれは譲れない位の大きな差とも言えます。
なので、自分が撮りたい写真をよく考えるようにしましょう。
では次に望遠側を比較してみましょう
これははっきりわかりますね。似たようなカメラなのにこんなに写る範囲が違うんだ!
そうですね。なので望遠が欲しいかどうかで結構決まってくるんですよ
これははっきりと違いが分かりますね。EOS Kiss M2(の望遠レンズ)やEOS R10(18-150レンズキット)はかなりの望遠撮影に対応しています。
一方でEOS RPやEOS R10(18-45レンズキット)はこの二つに比べるとほとんど寄れないことがわかると思います。
もし子供の運動会や発表会、またスポーツやテーマパークのショーなど、望遠が必要な撮影ではEOS RPやEOS R10(18-45 レンズキット)は望遠レンズを別途購入することが必須と考えておきましょう。
学校行事とかやっぱり望遠が必要だから、寄れないカメラは困るなぁ・・・
もちろん後から望遠レンズを買い足すことは可能ですが、その場合かなりの出費増になるので、最初からわかっているのであれば、望遠に強いレンズキットを選びましょうね
あと細かい点ですが、EOS R10(18-45 レンズキット)に付属するレンズだけ広角側のF値がF4.5となっています。
これはEOS Kiss M2の標準レンズに比べて、「写る範囲が狭いくせに明るさも2/3段暗い」という従来の感覚だとちょっと厳しいスペックですが、その分ボディの高感度性能とノイズリダクション性能がかなり良くなっているので、実際の使用にはあまり影響がないように思います。
Rマウントレンズは全般的に、特に普及価格のズームレンズはF値を頑張らない方針のようですね。
キャノンの初心者向けミラーレスの画質を比べてみる
次は画質を比べてみましょう。画質といってもいろいろありますが、ここでは「解像度」つまり拡大して細かい部分の描写の優劣を比べます
次に画質を比較してみましょう。
ただ、一口に画質といっても個人でラボテストのような正確なものはできないので、今回は単純にそれぞれのレンズキットに付属しているレンズを装着しての比較とします。
それではまず日中の明るい場所での比較をしていきます。EOS RPに合わせて100mm付近で撮った画像を拡大して、細かい部分がどのくらい解像しているかを比べてみましょう。
どうでしょうか?ほんっっっの少しだけEOS Kiss M2の描写が甘いようにも思いますが、かなり拡大してこの程度の差なので、普通はわからない程度の違いだと思います。
実はもっと強引に拡大していけば、フルサイズのEOS RPとの差がはっきりするのですが、そんな比較にはあまり意味がないでしょう。
もちろんLレンズといった高性能レンズを使えば、フルサイズのRPはまだ伸びるのかもしれませんが、キットレンズを使って日中に撮る分にはそこまで差が出ない、ということができるのかもしれません。
わたしには違いがわからないなぁ
発売から2年以上経っているEOS Kiss M2も、昼間であればまだまだ通用するということですね
では次に、高感度性能を比較してみましょう。
一般的にフルサイズセンサーの方が特に夜間などの高感度使用時の画質に優れていると言われていますが、実際にどの程度の差があるのでしょうか。実際に比べてみましょう
画像では明るく写っていますが、実際はかなり暗い所です。ISO感度が12800とかなり上がっていますが画質の違いがわかりますか??
う~ん、強いて言えば一番左がちょっとモヤっとしてるかな??
まぁその程度の差ですよね。じゃぁこれをグッと拡大して見ましょう。拡大するとさらに違いが出てきますよ
すごい!大きい画像のままじゃ気づかなかったけど結構差があるんですね
拡大していくと暗い所での画質の差がよくわかりますね。特に左のKiss M2は赤線の文字は完全に潰れてしまっています
どうでしょうか。確かにフルサイズのEOS RPが頭一つ抜けている印象がありますね。
夜の街並みを手持ちで撮る場合や、室内で自然光での撮影が多いなど、高感度での撮影が多くなりそうならEOS RPのフルサイズセンサーの強みは魅力的と感じるかもしれません。
EOS RPは発売から3年以上経過していますが、暗い所では最新のAPS-Cセンサーよりもまだまだアドバンテージがあるのは、さすがはフルサイズという所ですね
真ん中の EOS R10は最新モデルなので暗い所の画質も頑張っていますね。まぁそもそも2年前のエントリーモデルと最新のミドルクラスを比較することがフェアじゃないのですが
ただ、最近では撮った写真をスマホでしか見ないという人も増えました。(増えた、というよりほとんどそうかもしれない)
今見た僅かな画質の違いはスマホのような比較的小さな画面では、まず見分けることは不可能ですし、一枚一枚わざわざ拡大して画質を確認する人もあまりいないでしょう。
なので、SNSなどスマホでの利用がメインであれば、細かい画質についてはそこまで気にする必要は無いと言えます。
確かに今時引き延ばして印刷とか絶対にしないから、スマホで綺麗にみれたらそれで充分だね
キャノンの初心者向けミラーレスのバッテリー性能を比べてみる
続いてバッテリーを比較します。バッテリー持ちに関してはメーカーの公称値を参考にします
EOS R10 | EOS Kiss M2 | EOS RP | |
---|---|---|---|
バッテリー型番 | LP-E17 | LP-E12 | LP-E17 |
撮影可能枚数 (ファインダー時) | 約210枚 | 約250枚 | 約210枚 |
撮影可能枚数 (液晶モニター時) | 約350枚 | 約305枚 | 約250枚 |
上記はメーカー公表の機種ごとのバッテリー性能ですが、実はこの撮影可能枚数はあくまで目安であって、実際あまり参考にはなりません。
なぜならミラーレス一眼は従来の一眼レフとは違い、電源を入れて構えているだけで電池を消費するからです。
なので、特に初心者の内はカメラを構えてからあれこれと迷う時間が多いものなので、どうしても撮影可能枚数は極端に少なくなるのが普通です。
そっか、ファインダーを覗いているだけで電池をどんどん使っちゃってるんだね
実際慣れてくればメーカー公称値の倍程度は撮れることがあるので、この辺りはあくまで参考に留めた方がよさそうです。
いずれにしても、バッテリーが切れるとどうしようもない上に、ソニー機のような手軽なUSB充電にも対応していないので、(文字通り対応していなかったり、専用のアダプターが必要だったり)予備バッテリーは必須と考えておきましょう。
私はEOS Kiss M2やEOS RPで大体500枚以上は撮っています。でも予備バッテリーは必須ですね
キャノンの初心者向けミラーレスの初心者向け機能を比べてみる
初心者向け機能を比較します。特に初めて本格的な一眼カメラを買う人は、この初心者向け撮影機能が充実している方が最初は助かりますよ
EOS R10 | EOS Kiss M2 | EOS RP | |
---|---|---|---|
シーンインテリジェントオート | 有り | 有り | 有り |
スペシャルシーン | 15種類 | 11種類 | 12種類 |
クリエイティブフィルター | 10種類 | 10種類 | 非搭載 |
この3機種はのうちEOS R10とEOS RPはキャノンの中では「ミドルクラス」の位置づけですが、初心者向け機能もきちんと搭載されています。
特にフルサイズの上位機種では省略されている、撮影したい被写体を選ぶだけで自動で最適な設定になる「スペシャルシーン」モードが、EOS RPには残されているのは初心者には嬉しいですね。
ただし、「トイカメラ」や「ラフモノクロ」といった特殊エフェクトをかける「クリエイティブフィルター」はEOS RPには搭載されていないので、フィルターで遊びたいならこの辺りは注意しましょう。
キャノンの初心者向けミラーレスのその他の撮影機能を比べてみる
最後にその他の機能を比較してみましょう
EOS R10 | EOS Kiss M2 | EOS RP | |
---|---|---|---|
連写枚数 (ピント追従時) | 約15枚/秒 (約15枚/秒) | 約10枚/秒 (約7.4枚/秒) | 約5枚/秒 (約4枚/秒) |
連写枚数 (電子シャッター) | 約23枚/秒 | 非対応 | 非対応 |
サイレント撮影 | 可能 | ▲(オートのみ) | ▲(オートのみ) |
瞳検出(人) | 可能 | 可能 | 可能 |
瞳検出(動物) | 可能 | 不可 | 不可 |
4K動画撮影 | 4K60p | 4K24p | 4K24p |
内蔵ストロボ | 有り | 有り | 無し |
スマホ転送 | 可能 | 可能 | 可能 |
発売日 | 2022年7月 | 2020年11月 | 2019年2月 |
ざっと比較すると、やはり最新モデルのEOS R10の高性能が際立っていますね。
動物の検出や動画が4K60p対応しているのはEOS R10だけですし、サイレント撮影機能もEOS Kiss M2やEOS RPはフルオート撮影のみに対して、EOS R10はAvモードやTvモードでもサイレント撮影が可能です。
もちろんカメラの性能が高ければ良い写真が撮れる、という訳でも無いので、この辺りはバランスよく考える必要があります。
スペックが気になる気持ちは分かりますが、性能にこだわりすぎるのも良く無いので、自分に必要な機能があるかどうか、ぐらいの気持ちで見るようにしましょうね
まとめ
いかがだったでしょうか?とにかく最近の機種やハイスペックな機種が気になる人はEOS R10がおすすめですし、風景がメインで重さが気にならないならEOS RPは魅力的な選択肢となるでしょう。
なるべく安く、さらに気軽にミラーレス一眼を持ちたいならやはりEOS Kiss M2がいいかもしれません。
ただ、どの機種を選んでも、最近のキヤノンはどの機種も初心者に優しい造りになっているので、そこまで「大外し」することは無いように思います。
なので、最後は自分が「これが欲しい!」と思う気持ちが重要なのかもしれません。
この記事が皆さんのお役に立てれば嬉しく思います。最後まで読んで下さってありがとうございました。
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